2021.09.13

晴れ

 保坂和志が今読んでいる本の中で、風景を描くことがその作家の身体性を小説の中に取り込むことになるという話をしていた。風景を見るとは空や雲や建物や道が一度に目に飛び込んで来る経験でそれを言葉にするとは、その並行した流れを一本の流れの中へと無理やり押し込むことで、その力技が身体性を生み出す。3次元を2次元へと変換することで生まれる歪み。アングルの連続。最近、有馬さんとTwitterのタイムラインに流れてきた作品を見た。筆の筆跡をレイヤーに分けて重ねる事で正面から見ると一枚の絵に見えるが横から見るとその絵を構成するレイヤーが分かる3次元的な絵画作品。有馬さんは、これを自分は絵画でやっているけど、これでは悲しみを表現するために悲しいと言っているようなものだと言っていた。このエピソードと保坂和志の話が繋がるのかわからないが、本を読みながら思い出したので並べて書いてみた。

Powered by Blogger.
emerge © , All Rights Reserved. BLOG DESIGN BY Sadaf F K.