榴ヶ岡公園の近くを通ると蝉の声が重なり合って切れ目のないひとつの音の塊として鳴り響いていた。背の高い雲が空に浮かんでいた。去年の7月はまだ石巻に住んでいて、製紙工場から出る煙で薄く曇った空気のなかで空に浮かぶ雲を見ていた。去年の9月に仙台に引っ越してきたのでもう10ヶ月ほどたったことになる。あと2ヶ月で1年になる。見慣れない景色も長い間そこに住んできたかのような当たり前の景色になりつつある。今週は連日30℃越えで暑かったが、今日は風が吹いていたので比較的涼しかった。雲で太陽が隠れるだけでかなり涼しい。仕事が終わり自転車で帰りながら写真を撮り、思いついた言葉をスマホに書き込んだ。帰りに道に見た雲が坂口恭平の描いたパステル画みたいだった。自転車に乗りながら止まったり、進んだりしているのは周りから見たら変なのかもしれない。人はあまり立ち止まって風景を見たりしない。写真を撮り始めてからの日々は立ち止まって風景を見続けた日々とも言える。